今回は事務仕事の中で私が一番長くやってきた経理事務の仕事内容を紹介していきます。
といっても私も部長など重要な立場にいたことはなく、未経験から初めてしばらくやっていた程度の一般社員、派遣社員、アルバイトの経験のみです。
その会社特有の業務はなるべく省き、大体どこの会社も共通するものを中心に紹介していきます!
『経理事務』の仕事内容は?
支払い管理
これはほぼどの会社にも共通します。
会社も一般個人と同様に毎月電気代や家賃、電話代などを払っています。
その様な支払いは引き落としだったり、払込書を持ってコンビニや銀行での窓口支払いをしたりします。
そして会社には特有の業務をする上で必要な仕入れ、備品、税理士報酬等様々なものが加わってきます。
アスクル等の備品注文サービスで買ったボールペン代、地域の電力会社の請求書、顧問税理士の毎月の顧問料、全て支払い先が違うため支払日や支払い方法もバラバラです。
そのため支払い先、名目、支払い日、支払い方法等を一覧できる様な表をexcelで作成し月毎に保存していたりします。
pcで請求書が届くたびに更新したり、月に数回決まった日に更新したり、方法は様々です。

とても簡易的に作ってみましたが、例えばこんな感じです。全部まとめて作ったり、引き落としのもの、窓口支払いのもの別に作ったりと様々です。
支払いを4件だけ書いてみましたが、小さい会社だと毎月20件ぐらいのところもあります。初心者の方にはなるべくこういう一人で全部把握できるぐらいのものをおすすめしたいですが、なかなかピンポイントで狙っていくのは難しいので、「まぁ100件ぐらいあるのかな」ぐらいに思って頂ければいいかなと思います。
ちなみに大企業は分かりませんが、会社でも意外と個人と同じコンビニ払いというのを利用しているのが私がやってみて驚いた感想です。
これに関してはexcelの基本的な入力、合計程度の関数は必須ですが、そんなに難しいことはありません。
入社してすぐは、まず先輩が作った表と実際の請求書の金額が合っているか、確認する業務をしそうなイメージです。
売り上げの管理
支払いに対して今度は売り上げです。簿記でもそうですが経理上は「売上」と送り仮名無しで表記する場合が多いです。
車の部品を作っているメーカーなら、納品先に商品が売れて入金日に商品代金が入ってきたかどうか、不動産会社なら入居者の方が決まった日までに家賃を入金しているかどうか、などを確認し同様にexcel等の表に記入していきます。
支払いに対してこちらはその会社が売っている商品、サービスによって「売上」がどんなものか違ってきますので一言で表現しにくいのですが、基本は「入金があったかどうか」を確認していく業務になります。
主には銀行のシステムにログインし、会社のどの口座に、どこから、何日に、いくら入金があったのかをexcel等に記入していく感じです。銀行のサービスで入金があった時にFAXを送ってくれるものを利用し、随時FAXで確認という場合もあります。
こちらも意外と、銀行に行きATMで記帳して初めて分かるなどアナログな部分がまだまだあります。
私は不動産会社を2社経験していますが、入居者の方が高齢で
- 会社の普通預金・当座預金の種別を間違う
- 以前使っていた会社の別の口座に入れてしまう
- 2ヶ月分同時に入金したり「0」「6」「9」等の似た数字、ボタンの近い数字の押し間違い
など、ちょっと考えたり顧客に確認を要する必要がありPCの画面だけ見て完結する業務ではないなと感じます。
対して例えば店舗を経営する会社に入社すれば、本体となる会社の事務所で経理業務を行うことになりますが、店舗の店長などから日々日報が届いてそれを元に売上情報を確認していくことになります。
あちらは接客の仕事ですから書類・数字の管理が専門ではありません。レジデータの記されたレシートがちぎれていたり、よく分からない値引きみたいなのが入っていたり、まぁまぁ大変です。
細かい数字や事実の確認が好きな人には向いていると言えるでしょう。
現金の管理
会社では主に振り込みをメインに支払いをしますが、上述の様にコンビニ払いや町内会費等現金の支払いも普通にあります。
そのため金庫や引き出しの中のカンカンに現金を入れている会社は多いです。現金を置いているということはなくなったら大変ですから、日々確認する必要があります。
毎日現金を数える会社もあれば、支払い、入金、両替等現金を触った日だけ数える会社もあります。
そうそう、不動産会社の経験で言えばやはり高齢の方ですが「近くを通ったから今月分は現金で払うわ!」ということもあります。
名刺を印刷してくれる会社がついでに営業もしたいから「現金で回収に伺いますよ!」なんてこともありました。
とにかく電子決済がどんどん普及する中でも現金を置いておくことは必須なのです。
基本的には種類別に金庫、カンカンの中にある現金をカウントしていきます。

例えばこんな感じです。
現金なんて責任者しか触らないんじゃ・・・と思う方もいるかもしれませんが、意外と勤務初日から現金を触ったりします。
毎日のいわゆる「ルーティン業務」というやつなので色々と抱えている先輩としては早めに自分から切り離したいと考えるようです。やることも単純ですし、むしろ新人にはもってこいの業務なのです。
仕訳
(具体的な内容はページ後半「簿記は必要?」「あった方が有利」部分にて紹介します。)
経理事務という仕事に一番専門性があるのがこの仕訳です。
例えば総務の人が従業員の制服のサイズを把握、管理して制服を発注する業務を行なっていたとして、経理の人が記入等それを手伝うことはあります。
営業の人が使う資料の作成を手伝うこともあるでしょう。
しかし経理の人が総務や人事が行う採用面接についてくことはあまりないでしょうし、営業について回ることも基本はないでしょう。
この仕訳という業務はそれと同じ様に、その部門専門の業務となり、他部門がちょっと手伝ったりすることは少ないです。
例えば会計ソフトを使うので、会計ソフトは社内でもログインできる人が決まっていたりする場合も多いです。
またなるべく少人数でやった方が、修正や「これ誰が入力したの?」といった場合も対応しやすく、その観点からも経理専門の業務になりやすいと考えられます。社長すら触らず、役員は集計データを受け取るだけ、という場合も多いのです。
簿記は必要?
よく話題になるのが経理事務に就きたい場合に「簿記があると有利?」「簿記がないと仕事ができない?」という点です。
間違いなく言えるのは
・電気工事やフォークリフト等のように無資格でやったら違法!みたいな業務は無い
・あった方が有利
ということです。
「資格が無いとできない業務」は無い
資格が無いとできない業務は無い、というのはそのままの意味で、採用側にも資格者を必須にする必要は無いのです。
無免許で車を運転すると違法ですが、経理事務、簿記にはそういう性質は皆無です。
あった方が有利
ただし、経理の仕事に最も特有な業務に「仕訳」というのが存在します。
「仕訳(しわけ)」とは、例えば「電気代10,000円が引き落とされました」という事実があった場合、
水道光熱費10,000/普通預金10,000
といった様な事を書いた伝票を作成します。備考に「◯月分」等が書いてあったりもします。
備考はオマケですが、左と右にお金の動きを記録するのが仕訳です。
古い会社では本当にお札サイズの伝票を用意して記入しますが、実務上一般的なのは、これを会計ソフトに入力する業務です。
仕訳を会計ソフトに入力する作業が基本的に仕訳と呼ばれています。
この仕訳を元に、会社に起こったお金の動きを全て記録するのが経理の一番専門的な業務であり、その辺りの事務処理全般をテキストや問題集、資格試験にしたのが簿記です。
また詳しく解説しますが、この「仕訳」という独特の表現方法を使うので、「簿記を学んだ人じゃないと採用しません!」ということはあります。
まぁまぁ学校の様に1から授業をしないといけないので、それを仕事でやる余裕がないからです。
一方で「電気代を支払ったらパソコンでこの会計ソフトを立ち上げてここをクリックして入力してね。」
と、具体的な作業だけ教えていけば大体こなせるので「特に簿記やったことなくてもいいよ」という会社もあるわけです。
最初は上記に紹介した支払いや売り上げの管理をメインにしていけば、仕訳は先輩がやるのでとりあえずオッケー、ということです。
簿記はとりあえず日常業務で役立つレベルなら数日やればなんとなく分かってきますが、苦手そうな方は資格不問の求人をえらぶとよいでしょう。